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2020.09.05

相続税を減らす生前の不動産対策【資産組み換え】

余分な土地は持てない時代になった

今までは多くの土地を所有することが資産家の証であり、財産になりましたが、固定資産税や維持費のことを考えると、これからは収益力のある土地が財産になり、収益力がない土地は不良資産となりかねません。数よりも質にこだわって土地を選別していく必要があり、余分な土地は持たないほうがよい時代になったと言えます。

不動産は維持しやすく、負担のない形にしておく

生まれ育った地元の土地が負担になる人も増えてきました。仕事の都合で家を離れ、そのまま家庭を持つようになるとなかなか地元には帰れなくなります。そのうち親が亡くなると、もう帰る理由がなくなってしまい、地元に戻って住むという方も多くはないでしょう。

そうなると、相続した家は空き家となり、維持するための手間と費用が負担になりかねません。しかも、相続した家は配偶者や子どもにとっては思い入れが浅いため、温度差が発生し、家庭内のトラブルになることもあります。こうした不動産は、維持しやすく負担のない形にしておくことが重要になります。

借金をせずとも節税対策はできる。資産組み替えという方法

不動産を負担なく維持し、節税する方法のひとつとして「資産組み替え」があります。たとえば、土地の一部を売却して、そのお金で賃貸住宅を建てたり、維持しやすい違う立地に賃貸住宅を購入するなど、収益を上げられる不動産に組み換えていく方法です。売却代金を元手にすれば借り入れせずにすむ場合もあり、形を変えることで節税対策することもできるのです。

所有地が賃貸住宅の適地が否かを判断する

所有している土地がいずれも賃貸住宅に適した立地でないこともあります。賃貸住宅を建てるのであれば、最寄り駅からの距離が徒歩10分程度であることが望ましいです。周辺の住環境なども重要になりますが、所有地だけにそうした条件は今さら選べません。
もし賃貸事業をするのであれば、適地であるかそうでないかを冷静に判断し、適さないとわかれば、その土地を売却して別の立地で賃貸事業をするようにします。また、今までは賃貸住宅にしていた土地であっても、建物が古くなったりローンが終わっている場合は、売却と買いかえを検討するべきでしょう。

【実例】活用されていない地方の土地を売却したYさんの場合

Yさん:70代男性 相続人:Yさんの奥さん+子ども2人

Yさんは上場企業に就職し、数ヵ所に転勤をして、本社のある首都圏に自宅を購入しました。その後、70歳でリタイヤをしました。二人の子どもは仕事の関係で家を離れて生活をしており、現在は奥さんと2人暮らしをされています。
退職した後もなかなか暇にならず、いよいよ80歳が近づいてきたため、相続など今後のことも考えないといけない、とご夫婦で相談に来られました。
長男であるYさんは、自宅以外に、親から相続した地方の不動産も複数所有しています。相続税はどれくらい必要なのか、生前にどのような対策ができるのか、知っておきたいということでした。

そこで、土地のニーズに適した資産組み換えプランを提案しました。

対策1:活用されていない地方の不動産を売却する

地方に複数所有する不動産のうち、2ヵ所は駐車場となっていました。以前、地元の企業に貸していたときは収入がありましたが、現在はいずれも駐車場として機能しておらず、固定資産税などの支出があるのみです。
2ヵ所の駐車場について活用できるか検討したところ、共に最寄り駅から徒歩15分以上かかる立地であること、周辺の賃貸需要は飽和状態であることから、賃貸住宅を建てるのはリスクがあると判断しました。
さらに調査を進めた結果、戸建て住宅に適した立地であり、建て売り用地として売却することが妥当だと判断しました。販売を開始したところ、ほどなくYさんの希望である財産評価と変わらぬ価格で地元の建売業者に売却が決まりました。

対策2:売却した資金で都心のアパートに買いかえる

駐車場の売却代金を元手にして、人気の高い立地に建つ中古アパート(築8年・総戸数10戸)を購入しました。購入資金は駐車場の売却代金だけでは少々足りませんでしたが、銀行から借り入れたことで、かえって節税効果も高まりました。

◇資産組み換えによる節税◇

[対策前]

●財産評価 2億2,800万円
内訳
駐車場2ヵ所:5,500万円
そのほか(自宅、生家、賃貸マンション、預金など):1億7,300万円
[合計]2億2,800万円

●相続税 3,400万円(改正法)
(計算式)
1.課税価格の合計額から相続税の基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を計算します。
 財産評価 2億2,800万円 – 基礎控除 4,800万円(3,000万円+600万円×法定相続人数 3人)=1億  8,000万円
2.奥さんの課税遺産総額を法定割合2分の1と想定し、9,000万円に税率30%を掛け、
 定められた控除額700万円を引きます。
 9,000万円×30% – 700万円=2,000万円
3.子ども1人の課税遺産総額を法定割合4分の1と想定し、4,500万円に税率20%を掛け、
 定められた控除額200万円を引きます。さらに2人分を合算します。
 4,500万円×20% – 200万円=700万円、700万円×2=1,400万円
4.奥さんと子ども2人の相続税を合算し、合計額を出します。
 2,000万円+1,400万円=3,400万円

◇対策1
駐車場を7,500万円で売却。税引き後、財産評価から下がることなく手取り5,500万円に。
◇対策2
駐車場の売却代金5,500万円と銀行から借り入れした6,500万円の合計1億2,000万円で、中古アパートを購入。土地建物評価が6,960万円となり、中古アパートの財産評価は5,040万円の減額に。

[対策後]
● 財産評価 1億7,760万円
内訳
中古アパート:6,960万円
そのほか(自宅、生家、賃貸マンション、預金など):1億7,300万円
中古アパートの購入するための借入金:△6,500万円
[合計]1億7,760万円

●相続税 2,140万円(改正法)
(計算式)
1.課税価格の合計額から相続税の基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を計算します。
 財産評価 1億1,760万円 – 基礎控除 4,800万円(3,000万円+600万円×法定相続人数 3人)=1億  2,960万円
2.奥さんの課税遺産総額を法定割合2分の1と想定し、6,480万円に税率30%を掛け、
 定められた控除額700万円を引きます。
 6,480万円×30% – 700万円=1,244万円
3.子ども1人の課税遺産総額を法定割合4分の1と想定し、3,240万円に税率20%を掛け、
 定められた控除額200万円を引きます。さらに2人分を合算します。
 3,240万円×20% – 200万円=448万円×2=896万円
4.奥さんと子ども2人の相続税を合算し、合計額を出します。
 1,244万円+896万円=2,140万円

【節税額】対策前の相続税 3,400万円 – 対策後の相続税 2,140万円=節税額 1,260万円

生まれ故郷の土地を相続している方は多いと思いますが、地元を離れた人にとっては、土地が財産にはならない現状もあります。自分の世代だけでなく、次の世代にも負担にならないような財産にしておくことが大切です。Yさんも自分だけではなかなか決断できなかったようですが、最後は奥さんの薦めで決断されました。こうした思い切りが相続対策には必要なのです。

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