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2020.07.26

民法改正で新設された「保証人への情報提供義務」って?②

賃貸経営をしている方であれば、1度や2度は、賃料を滞納されたことがあると思います。そのようなとき、入居者と滞納賃料の金額を確認したうえで分割払いにするという合意をとった方も多いのではないでしょうか。

分割払いの合意の場合、例えば、1度でも支払いを怠ったら、残額(及び遅延損害金)を一度に支払う旨の条項を設けることがあります。これを、「期限の利益の喪失条項」といいます。本来であれば、先の期限に支払えば良い債務を、債務の不履行によって即時に支払わなければならなくなるため、期限を失うという意味でそのように呼ばれています。

この分割払いの合意でも、保証人による保証が及ぶ場合(典型的なのは、合意書に賃借人の親族が連帯保証人として署名・捺印をするケース)には、少し注意が必要です。

なぜ注意が必要なのか。それは、改正後の民法458条の3で、債務者(ここでは入居者側)が分割金を支払わず、分割金を即時一括で払うことになった場合、そのことを債権者(ここではオーナー側)が知った時から、2カ月以内に保証人(個人)に通知しなければならないと定めているからです。

もし、この期間内に通知をしなかった場合、遅延損害金の一部について、保証人(個人)は支払わなくても良いということになります。

例えば、

・入居者が50万円分の賃料の滞納をした。

・オーナーと入居者との間で、同50万円を令和2年4月から令和3年1月まで毎月末日に5万円ずつ10回払い(10カ月の分割払い)とする合意をした。

・仮に、支払いを1回でも怠った場合には、入居者はオーナーに対し、50万円から既に支払った金額を控除した残額と遅延損害金を支払うこととした。

・上記について、入居者と保証人(入居者の父親)との間で、保証人が入居者の債務について連帯保証するとの保証契約をした。

この場合どうなるのか、ご説明しましょう。

例えば入居者が、令和2年4月30日の5万円を全く支払わなかった場合、入居者は期限の利益を失い、50万円を一括で支払わなければならなくなります。

そしてオーナー側は、保証人に対し、2カ月以内に入居者が期限の利益を失った旨の通知をしなければなりません。

この通知は、保証人からの請求や問い合わせを待つことなく、オーナー側が自主的にしなければなりません。

もしオーナー側からの通知が、期限の利益の喪失を知った時から2カ月以上遅れてしまった場合、オーナー側は保証人に対して、実際に通知をした日までの間の遅延損害金を請求することができません。

本件ケースでいえば、オーナー側が期限の利益の喪失を知ってから3カ月後に保証人に通知が到達した場合、オーナーは6000円余り(50万円に対する年5%の遅延損害金の3カ月分)を請求することができなくなります。

以上の内容は、保証人が保証会社などの法人である場合には適用がありません。あくまで、保証人が個人の場合に適用があります。

保証会社が機械的に情報提供求めるか

改正民法施行後の状況は、今後の社会情勢や裁判例の積み重ねなどによって、段々と明らかになっていきます。

ですので、ここに記載していることはあくまで筆者の私見となりますので、その点は、ご容赦ください。

1.「保証人にとって酷」な可能性の高い事案は減る

改正後民法458条の2が施行された後は、オーナー側によって保証人に対する情報提供がなされることになります。そのため、賃料の不払いを長期間放置した後に保証人に対して請求をするというような、保証人にとって酷となる可能性のある事案は減ると思われます。

2.情報提供を求めるのは保証会社が中心と思われる

既に浸透している保証会社による保証ですが、改正後民法458条の2に基づく情報提供を求めるのは、保証会社が多いと思われます。

保証会社が定期的に、かつ、機械的に、オーナー側に対して情報提供を求めるということが考えられます。

ある特定の保証会社に保証をしてもらっている物件がある場合、情報提供を求める請求が同じ時期に何通も来て、事務処理に忙殺されるということが起きるかもしれません。

なお、参考までに、該当箇所をご紹介しておきます。

参考:民法458条の2(改正後)

保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。

参考:民法458条の3(改正後)

1 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2箇月以内に、その旨を通知しなければならない

2 前項の期限内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない

3 前2項の規定は、保証人が法人である場合には適用しない

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