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2020.07.14

「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に、一体何が変わった?①

2020年4月1日に改正民法が施行されました。これにより、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」と改められました。今回は、結局何がどのように変わったのか、改正前の瑕疵担保責任と比較しながら解説します。

契約不適合責任は、主に、売買契約や請負契約を対象としていますので、不動産オーナーにも影響のあるものです。土地や建物の売買契約、建物の建築契約やリフォーム契約などを念頭において、トラブルが発生した際には、どのような請求ができるかを想定しながら読んでもらえるとありがたいです。

「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に

改正前に使用されていた「瑕疵担保責任」は、瑕疵に関する責任です。そもそも瑕疵とは、「当該売買契約締結当時の取引観念上、その種類のものとして通常有すべき品質・性能、または当該売買契約に基づき特別に予定されていた品質・性能を欠くこと」(最高裁平成22年6月1日判決)と考えられていました。

つまり、「通常そうであるべき品質や性能が備わっていない」状態や物ということになります。

他方、今回から変わった「契約不適合責任」は、その名のとおり、種類、品質または数量に関して契約に適合しないことによって生ずる責任(民法562条1項本文)のことです。

例えば、売り主Aと買い主Bが100平米の面積の土地の売買契約したところ、売買対象となった土地の面積が実際には90平米だった…という場合には、売り主Aに契約不適合責任が発生するでしょう。

「瑕疵」と「契約不適合責任」、文言は異なるものの、民法改正前の「瑕疵」という概念の中には契約内容も含まれていると考えられるため、契約不適合の内容自体は前述の瑕疵とほぼ同一の内容となると考えられています。

なお、瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わった背景としては、「法定責任説」から「契約責任説」という学説の考え方の変更がありますが、ここでは深入りはしません。

「隠れた」の要件が不要となった

改正前民法570条は「隠れた瑕疵」という文言を定めており、売り主の瑕疵担保責任を問うには瑕疵が隠れていなければなりませんでした。瑕疵担保責任における「隠れた」の要件は、善意無過失(知らないこと、かつ、知らないことに過失がないこと)と言われており、責任追及をする側がこの瑕疵について、善意無過失である必要がありました。

例えば、売り主Aが買い主Bに対して、中古物件を売却した場合を想定してみましょう。その物件の天井に水漏れがあったとします。売却前に専門家を入れてきちんと天井も含めて建物全体を確認しており、売り主Aや管理会社にも過去の履歴を確認していたという状況で、買い主Bが水漏れを見つけられず、知らなかった場合などは、買い主Bは善意無過失といえるでしょう。

反面、過去に物件に水漏れが発生していたことを管理会社が把握しており、買い主Bも管理会社に確認できる状況(売り主Aから許可をもらっていたなど)にもかかわらず、管理会社に確認をしなかったことが原因でBが水漏れを知らなかった場合、Bは善意で過失があるということになります。物件の天井に水漏れがあったことを知っていた場合、Bは悪意となります。

改正前民法の場合、買い主側が善意無過失でなければ売り主の瑕疵担保責任を追及することはできませんでした。

一方、契約不適合責任においては、「隠れた」の要件、つまり、責任を追及する側が善意無過失であるとの要件は不要とされました。

責任追及する側からすれば、自身の善意無過失という高いハードルが不要となったことから、売り主の責任追及をしやすくなったと言えるでしょう。

今回の改正で、責任追及方法にも変化がいくつかあります。それぞれについて以下解説します。

責任追及方法 1.代金減額請求

代金減額請求とは、売買契約を例に挙げて言えば、引き渡された目的物が種類、数量、または品質において契約内容に適合しない場合、買い主が売り主に対して、代金の減額を請求することを指します。前述の土地面積の例で言うと、本来の契約(100平米)よりも狭い面積分(実際は90平米だったので、10平米分)の代金の減額(例えば、10%分)を求める請求権のことをいいます。

改正前民法563条1項は、「売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売り主がこれを買い主に移転することができないときは、買い主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる」と定めており、瑕疵担保責任において代金減額請求が認められるのは、同条項の場面のみでした。

文言が少し分かりにくいので、具体例を挙げましょう。

売り主Aと買い主Bが100平米の土地の売買契約をしたところ、この土地のうち10平米が売り主A所有ではなく、第三者Cの土地であったとします。売り主Aが第三者Cからこの10平米分の土地を買い取って、買い主Bに売ることができなかった場合を考えます。

上記の例を使って改正前民法と改正後民法の代金減額請求の違いを説明すると、改正前民法は、不足分の土地が「第三者Cの土地である場合」に限り、買い主Bは代金減額請求ができました。

他方、改正後民法は不足分の土地が第三者の土地でなくても、買い主Bは代金減額請求できるということになります。

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