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2022.05.27

修繕積立金の突然の値上げ マンションオーナーは拒否できるか?

ついにバブル超え!なぜ、マンション価格は上昇し続けるのか?

これまでも高値状態が続いていた分譲マンション価格ですが、ついにバブル期のそれを超えました。不動産経済研究所が1月に発表した2021年の首都圏新築マンション価格(年間平均)は過去最高の6260万円となり、バブル期(1990年)の6123万円を31年ぶりに超えました。いまだ所得水準は横ばいで推移しており、今後、給与が右肩上がりで上昇する見込みは低いにもかかわらず、旺盛なマンション需要が価格上昇を後押ししています。

しかも、こうした上振れ傾向は首都圏に限った話ではなく、近畿圏や東海・中京圏、さらに地方の中核都市も含めた国内各所で明確に表れています。前出の不動産経済研究所によると、2021年の全国の新築マンション平均価格は5115万円となり、5年連続で最高値を更新しました。こうした勢いは中古マンションにも波及(価格上昇)しており、可処分所得が伸び悩む中にあって、マンションの取得は一段と高嶺の花になりつつあります。

となると、気になるのが今後の価格動向です。不動産経済研究所は「建築コストの高止まりや人気エリアの用地取得競争の激しさなどから、引き続き高値が続く見込み」と分析しています。ただ、すでに東京オリンピックは昨夏に閉幕しており、東日本大震災の復興にかかわる建築特需が新たに創出しているとも考えられません。建築コストが高止まりする理由が見当たりません。

しかし、国土交通省が公表している「建設工事費デフレーター(四半期別)」を見てみると、確かに右肩上がりで建築コストが上昇しているのが分かりました。2016年10~12月には100.5だったデフレーターが、2021年10~12月には116.3まで上昇しました(下グラフ参照)。

足もと、新型コロナの感染拡大が経済を停滞させています。にもかかわらず、この5年間で15.8ポイント、つまり16%弱のコストアップを強いられた計算です。こうした建築コストの上昇がマンション価格を上振れさせる主因となっています。

(出所)国土交通省「建設工事費デフレーター(2015年度基準)」

建設費の上昇は大規模修繕工事のコストアップにもつながっている

実は、こうしたコスト上昇はマンションの大規模修繕工事にも影響を及ぼしていました。当初、長期修繕計画で見込んでいた修繕工事費ではコストアップ分を吸収できなくなった分譲マンションが修繕積立金の残高不足に悩んでいるのです。

そこで、修繕積立金の値上げや一時金を徴収しようという話がマンションの管理会社、あるいは管理組合の中から持ち上がるのですが、その際、自室を賃貸しているマンションオーナーが値上げを拒否できるかが本コラムの論点です。

ここでの「値上げ拒否」には2つの意味があり、1つは値上げ決定後、自分だけ支払わないことが許されるのかどうか。そして、もう1つは修繕積立金の値上げそのものを阻止(否決)できるかどうか?―― という点です。

自分だけ「支払いたくない」という言い分は通用しない

1つずつ見ていきましょう。最初の「自分だけ支払いたくない」という言い分は、結論から申し上げて通用しません。なぜなら、区分所有法で「各共有者は(中略)その持分に応じて共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」(第19条)と規定されているからです。

常識的に考えて、答えはすぐに出るはずです。単純に値上げを是認できないという理由だけで支払いを拒否する行為が認められるはずがありません。もちろん、賃貸している部屋の借家人に負担を強要することも許されません。

分譲マンションの共用部分は各区分所有者の共有物です。当然ながら、持ち分に応じた負担をしなければなりません。「共用部分の負担」=「管理費や修繕積立金などの支払い義務」から逃れることはできないのです。修繕積立金の支払い拒絶は法律違反に相当します。

修繕積立金の値上げには総会決議が必要

では、2つ目の「修繕積立金の値上げそのものの阻止(否決)」はどうでしょうか。

ここで、マンション管理組合の意思決定プロセスを確認しておくと、管理組合の運営は「総会中心主義」に基づき運営されています。総会中心主義とは、区分所有者に特別の影響を及ぼす事項を議論・判断するには、総会を開催して全区分所有者の賛否をもとに最終決断しなければならないという考え方です。要は、多数決ですべてが決まっていくのです。理事で構成される理事会が「執行機関」と言われるのに対し、総会が「意思決定機関」と言われるのは、そのためです。理事や一部の区分所有者が都合よく自分勝手に決めることはできません。

この総会中心主義に基づき、マンションオーナーも総会に出席して「賛成」「反対」の意思表示をします。そして、全区分所有者の票が集計され、ようやく結論に至ります。

このことから分かるように、本人がいくら反対しても、他の多くの区分所有者が賛成すれば値上げは実施されます。逆に、反対票が多数を占めれば値上げは却下されます。つまり、区分所有者の総意が結果を左右するわけです。修繕積立金の値上げを拒否できるのは、反対票が多数を占めた場合に限定されるのです。オーナー1人の力で、どうなるものでもありません。

修繕積立金不足は「百害あって一利なし」

補論として、修繕積立金の値上げ拒否が本当に得策なのかどうか?―― その点も確認しておきましょう。

言うまでもなく、修繕積立金不足はマンションの資産価値に悪影響を及ぼします。修繕工事が計画的に実施されず、適時・適切なメンテナンスが遅延すると、建物の劣化・老朽化を加速させます。住み心地が悪くなるわけです。当然、家賃の値下げや空室リスクは、その分、高まります。

足もと、投資用マンションのオーナーにとって、修繕積立金の値上げは採算(賃貸経営)の悪化を意味します。拒否したい気持ちは十分理解できますが、修繕積立金不足は百害あって一利なしです。目先の利益ばかりを追い求めるのは得策といえません。

「損して得取れ」ということわざがあるように、安定経営を目指すのであれば「借家人ファースト」である必要があります。繰り返しになりますが、修繕積立金不足は百害あって一利なしです。もし、管理組合で修繕積立金の値上げが議題に挙がったら、迷わず「賛成」に票を投じてください。その判断が、結果としてマンション投資の収益性を高めるのです。

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