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2021.09.27

「サブリース」は仕組みを知らずに使ってはいけない

みなさんは「サブリース」という言葉をよく目にするでしょう。近年の賃貸用アパート投資ブームの背景には、サブリース契約の流行も影響していました。

サブリースは、オーナーにとってみれば非常にラクです。

サブリース会社がアパート全体を「○年一括」で借り上げてくれたり、賃借人(入居者)の募集や家賃の徴収といった業務もサブリース会社が行ってくれたりします。アパートオーナーはサブリース会社から家賃が支払われるのを待っていればよいのです。

サブリースは、不動産投資の経験が浅い個人のアパートオーナーなどを中心に、積極的に活用されてきました。しかし、スマートデイズの「かぼちゃの馬車」事件や、レオパレス21の不良施工問題を機に、サブリース契約のリスクも認識されるようになりました。今回は、改めてサブリースという契約についてアパートオーナーの立場から考えてみたいと思います。

サブリース会社はなぜ儲かるのか

サブリースとは上述の通り、サブリース事業会社がアパート全体をアパートオーナーから一括で借り上げて、個人などの第三者に転貸することをいいます。簡単に言えば「又貸し」です。一般的には、住宅メーカーやその子会社がサブリースを手がけている例が多いでしょう。

アパートが満室時の家賃を100%とした場合、サブリース会社は大手ならば80~90%程度の家賃でアパートオーナーから借りることが多いでしょう。

アパートオーナーにとってみれば、満室時よりは家賃収入が減ります。その代わり、アパートの入居率にかかわらず、一定の家賃収入が見込めます。また、個人の賃借人よりはサブリース会社の方が家賃の取りっぱぐれはないでしょう。そして、賃借人の募集や家賃の徴収など本来はアパートオーナーがやらなければならない管理業務を、サブリース会社が実質的に代行しています。

一方でサブリース会社は、最初にアパート建築をアパートオーナーから請け負っているケースが多くあります。アパート建築の請負工事で利益を出し、その後そのアパートを管理するまでがビジネスモデルなのです。もちろん、サブリース会社自らが入居者をきちんと確保できる、そして適正な家賃をきちんと確保できるかを最初に調査しています。そのうえで、アパートオーナーと契約を結んでいるのです。

とはいえ、アパート建築工事で利益を出しているのですから、サブリース契約の初期で入居者の募集に少々苦労したところで、蓄積した利益から費用を一部吐き出すようなものです。そして、目論見通りに賃借人が集まれば、賃借人から徴収した家賃とアパートオーナーへの支払家賃の差額が自らの利益になります。

しかも、物件はアパートオーナーが保有しているので、自らの資産と負債が膨らむことはありません。建築してくれるアパートオーナーさえ見つかれば、次々と物件を増やしていくことができるのです。いわゆる「人のふんどしで」ビジネスができるということになります。

サブリース会社にとっては、建築請負からサブリースによる物件運営まで一連のビジネスモデルがうまくいけば大きなメリットがあるのです。

家賃保証を過信してはいけない

サブリース契約は、関係者にとってはWin-Winであるように思えます。しかし、サブリース契約にはアパートオーナーが見落としがちな落とし穴もあります。

それは、家賃「保証」です。

サブリース会社は「30年一括借上げ」「賃料保証」「家賃保証」といった言葉で、アパートのオーナーとなりそうな個人を勧誘します。家賃保証という話を聞けば、アパートのオーナーになって安定的な収入を、しかも手間なく得ることができそうに思うでしょう。

しかし、サブリース契約の本質は、アパートオーナーからの借家契約です。すなわちサブリース会社は単なる不動産の賃借人であり、借地借家法の法律の適用があります。

この借地借家法は、借り手優位(保護)なものであり、例えば賃貸借契約書に「サブリース会社はアパートオーナーに家賃を10年間固定賃料で支払います」というような文言があったとしても、実際には法的に意味がないとされます。すなわち、サブリース会社は契約で賃料を保証していたとしても、アパートオーナーに家賃の減額請求をすることができるのです。

2013年10月21日の最高裁判決では、サブリース契約は賃貸借契約に該当すると認定し、借地借家法32条に基づく賃料減額請求権を認めました。もちろん、賃料の減額幅については、アパートオーナーへの勧誘の内容等が考慮されることになりますが、それでも家賃保証は絶対的なものではないのです。

そして、アパートオーナーとの間で家賃の交渉が折り合わない場合には、サブリース会社から契約を解除することができます。サブリース契約とは、サブリース会社が法的には有利なのです。

なお、サブリースが付いたアパート建築案件について、銀行がアパートローンでの貸出を検討する際には、このサブリース契約の内容をかなりしっかりと見ています。

特に、サブリース会社が信用できるところかは重要なチェック項目です。特に大手のサブリース会社案件は比較的通りやすいでしょう。10年間程度の家賃保証は維持されるものとして、プラスに考慮されます。ただし、大手の案件は家賃の減額事例が少ないのですが、そもそも建築費が高いため、アパートオーナーにとっては収益性が低くなるケースが多いのではないかと思われます。

サブリース会社の業績はどうなっているか

では、サブリース会社の経営は大丈夫なのでしょうか。スマートデイズのようにサブリース会社の資金繰りが破綻してしまえば、アパートオーナーは損害を被らざるを得ません。サブリース会社は経営が安定していないと困るのです。

例えば、業界最大手である大東建託はどうでしょうか。

大東建託は子会社の大東建託パートナーズで一括借上げ、サブリース事業を営んでいます。

大東建託パートナーズは、コロナ禍においても、以下の業績を計上しています。

次に業界大手の積水ハウスはどうでしょうか。以下は積水ハウスのストック型ビジネスにおける不動産フィー事業の業績です。この事業がいわゆるサブリース事業となります。

積水ハウスの方が大東建託よりも利益率が高いですが、これはサブリースだけではなく、営繕工事や電力事業等他の事業が入っている可能性はあります。それでも、かなりの利益を出しているのは間違いないでしょう。

これらの数字を見ても分かるように、サブリース事業は少なくとも大手にとっては非常に安定している事業と言えるでしょう。言い方を変えれば、きちんと収益が上がるように、事業が安定するように、サブリースする際の賃料を適切に設定しているからこそ、サブリース会社は儲かるのです。

もちろん、業績の厳しいサブリース会社もあるでしょう。もしアパートオーナーとしてサブリース契約を結ばざるを得ない時には、せめて契約相手の会社の業績だけはチェックしておきましょう。

サブリース契約の本質的な問題点

ここまでサブリース契約、サブリース会社について見てきました。しかし、サブリース契約には、本質的に問題があります。それは、アパートオーナーとサブリース会社には利益相反があるということです。

ちょっと考えてみれば簡単に分かりますが、サブリース会社から見れば、アパートオーナーに約束する(支払う)家賃は少なければ少ないほど自社の利益を確保できる可能性が高まります。

また、オーナーに約束する家賃が周辺相場よりも低ければ、賃借人を募集する際の賃料を競争力のあるものにすることも可能です。稼働率は高くなるでしょうから、当然ながら損をするリスクも低くなります。

そしてアパートオーナーは、不動産の素人であることが少なくありません。周辺の家賃相場に対する情報も、サブリース会社の方が当然ながら持っているでしょう。プロ(=サブリース会社)と素人(=アパートオーナー)のどちらが有利であるかは言うまでもありません。サブリース契約では、プロが素人から利益を吸い上げる構図がまま見られるのです。

もしアパートオーナーになりたければ、本質的には立地を自ら選び、プランを業者任せにせずコストを適切にコントロールして建物を建築し、他人任せにせずに入居者を募集することをまずは考えるべきでしょう。

他社・他者の力を借りるということは、その相手に経済的利益を渡さなければならないのです。それは、すなわち投資利回りの低下、投資で成功する可能性の低下を意味します。

サブリースは一見すると非常に楽なお任せサービスです。しかし、何でもやってくれるということは、その分だけ利益を取られることにつながります。それを知らずに、また家賃保証を過信したままサブリースを利用すると、投資の失敗につながる可能性もあるのです。

アパート経営はビジネスです。ビジネスを人に任せきりにして成功するかどうか、一度立ち止まって考えてみても良いかもしれません。ビジネスを任せきりにするのがサブリース契約なのですから。

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