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2021.09.06

路線価0.5%減も実際の不動産価格は上昇か 高値崩れに備え財産目録を見直そう

路線価の全国平均、6年ぶりに前年を下回る
最高値は銀座中央通り4272万円、7.0%マイナス

国税庁が7月1日に発表した2021年分の路線価は全国平均が前年比マイナス0.5%となり、6年ぶりに前年を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大でインバウンド(訪日外国人客)が激減した影響などが大きかった。

ただ専門家によると、実際の取引価格は新築も中古も上がっている。急に高値が崩れたときに備え、今から財産目録をチェックして、まずどの物件から売るかなどの出口戦略を描いておくべきだとアドバイスする。

路線価は、全国の主要な道路に面する土地の約1平方メートル当たりの評価額を示す。相続税や贈与税を算出するときの基準となるもので、原則、国税庁が毎年1月1日時点の価格を出し、7月上旬に公表している。路線価はおおむね、一般の土地取引の基準となる「公示地価」の約8割が相場となっている。

今月発表された21年分の路線価はどうだったのだろうか。

最も高かったのは36年連続で東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通り。4272万円だった。ただし、やはり下落しており、前年比でマイナス7・0%となった。

路線価ランキング都道府県庁所在地の最高路線価をみると、47都市中22都市で下落した。

最もマイナス幅が大きかったのは奈良市東向中町大宮通りで、12.5%減の70万円。鹿と触れ合える奈良公園や興福寺近くのロケーションだ。新型コロナ前まで激増していたインバウンドが蒸発してしまったことが、大きな下落の理由と考えられる。

このほか神戸市中央区三宮町1丁目の三宮センター街がマイナス9.7%の520万円に。大阪市北区角田町の御堂筋はマイナス8.5%の1976万円となった。

奈良、神戸、大阪ともインバウンドの恩恵を大きく受けていた場所だ。観光客がいなくなれば、観光客を目当てとしていた飲食店やドラッグストアなどが撤退し、空き店舗が増えるなどして結果的に地価が下がることになる。

テレワークで都心も下落か、千代田区マイナス10.5%
都市郊外は上昇、茨城・守谷駅前プラス3.2%

つくばエクスプレスの守谷駅
つくばエクスプレスの守谷駅

一方、今回は新型コロナの感染拡大を受けたテレワーク普及が理由とみられる傾向が2つ出た。

一つは、東京都心の路線価格の下落で、千代田区がマイナス10.5%になるなどした。テレワークが広がったほか、企業業績が悪化し、オフィスをたたむ動きが出ていることが背景にあるとみられる。

オフィス仲介の三鬼商事によると、東京ビジネス地区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区の都心5区)の5月のオフィスの平均空室率は5.90%と、15カ月連続で上昇している。「集約に伴う大型解約の動きも出ていたことから、東京ビジネス地区全体の空室面積がこの1カ月間で約1万9千坪増加」したとしている。

これに対し、テレワーク普及を原因として、都市郊外の住宅地では路線価が上昇しているところもある。

関東では、つくばエクスプレスの守谷駅(茨城県守谷市)前が3.2%の上昇だった。近くでマンション開発が続いているが土地の供給があまりなく、地価の上昇につながっているようだ。

関西でも京阪神の都市部近郊エリアが上昇している。

上昇率は、阪急川西能勢口駅前(兵庫県川西市)が4.0%増、JR芦屋駅前(兵庫県芦屋市)が3.6%増、阪急高槻市駅前(大阪府高槻市)が3.4%増、などだった。テレワークの普及もあいまって、郊外にあるファミリータイプのマンションへの需要が高まったとみられる。

東京カンテイ・井出氏「実際の不動産価格は上昇」
投資戦略の変更不要 下落局面に備え「出口」の検討も

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ただ、専門家によると、こうした路線価の傾向は、実際の不動産価格に対する肌感覚とはかい離があるようだ。

東京カンテイの井出武・上席主任研究員は「実は、実際の不動産、たとえばワンルームマンションなども含めた中古も新築も、価格は下がっておらず、むしろ上がっている。よほどの郊外や人口減少エリアは別だが、全国的に同じ動きだ」と指摘する。

その意味で、「どこに収益性の高い物件や資産的に安全な物件があるかという軸は、コロナでいささかもぶれていない。投資戦略の見直しは必要ないのではないか」。

警戒しておくべきは「価格が高くなりすぎている側面がある」ことだという。

過去にもバブル崩壊や金融危機など、急激に不動産価格が崩れるショックがあった。足元では世界的な利上げがショックの引き金となりかねない。

「利上げが続き株価が下落すれば、3カ月遅れくらいで不動産価格の下落に波及する。下落が続く局面になってから持っている物件を売ろうとしても遅い」

今からしておくべきは、財産目録をチェックし、どの物件から処分していくか、あらかじめ考えておくことだという。

「値が張る物件は売りにくいなど、みなさん経験値でご存知だと思う。必ず売却する必要はないのだが、『出口戦略』は検討しておくべきだ」

実際の市場動向を見極め、柔軟な投資戦略をとっていきたい。

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