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2021.02.18

海外不動産投資の最新事情と2020年度税制改正による節税封じの影響

人口が減少に向かう日本よりも、海外不動産のほうがリスクが小さいのではないかと考えて、海外不動産市場に興味を持つ人も少なくないでしょう。東南アジアなどの新興国は高度経済成長期を迎え、かつての日本のように不動産価格の上昇が期待されています。

しかし、その一方で海外の不動産を購入して減価償却費を活用した節税スキームが人気となっていましたが、この節税スキームが2020年の税制改正大綱で封じられることとなり、節税目的で海外不動産を購入していた人にとってはその戦略を大きく変更せざるを得ない事態も起きています。

今回は海外不動産の投資事情について、最新情報を交えながらそのメリットや節税スキームに対する変化について解説します。

1.海外と日本の不動産投資の目的の違い

不動産会社や機関投資家などのプロは昨今、海外不動産に注目している傾向が見られます。日本は人口減少局面に入り、不動産市場における高成長は一部の都心物件や優良物件を除くと「望み薄」という現状です。それに対して、海外には人口が増加している国や人口の集中が進行している都市が数多くあります。

タイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、カンボジアなど、これらの国の都市部では、住宅のみならず商業施設やオフィスビルなどの需要が急激に高まっています。これは、長期的な市場拡大と不動産価格の上昇が見込めると考えられているためです。しかも、経済発展が著しい一部の国では不動産の高止まりも起きており、さながら「不動産バブル」の様相を呈している地域も見られます。

バブル化している地域もありますが、海外での不動産投資は購入した不動産が値上がりしたところで売却するキャピタルゲインをまだまだ狙うことができる市場です。その一方で日本での不動産投資はすでにこれ以上の価格的な高騰は考えにくいため、家賃収入というインカムゲインを目的とするものが中心といえるでしょう。

1-1.海外不動産投資に向いている人、向いていない人

海外不動産には、国内不動産にはないリスクがあります。国が違えば法制度や税制が異なり、それが突然変更されることもあります。また、外国人に対する投資制限があったり、外貨規制による資金の持ち出しに制限があったりする国もあります。

そのため海外不動産投資では、為替変動や現地の政治・経済など、さまざまな「情報」を得ることが必要です。日本にいながらそれらの情報をつかむのは、決して簡単なことではないでしょう。機関投資家のようなプロであれば海外とのネットワークを駆使して、そうした情報の収集は比較的容易かもしれません。

しかし、個人投資家で国内でも不動産投資の経験が少ない人たちは、自らの力だけで海外不動産に投資しても、成功する確率は低いとみるべきでしょう。景気のよさそうな話には振り回されず、自分が何に投資するべきなのか、自身にしっかりと問いかけたうえで、不動産投資を行いましょう。

後述しますが、税制改正前は富裕層の人など所得税の節税が重要な課題である人たちがアメリカの築古住宅などを購入して節税に役立てるスキームがあったため、こうした富裕層も海外不動産の購入に適した人たちでした。しかしこのスキームは2022年からの確定申告では封じられることになるため、海外不動産投資に向いている人の範囲は以前より狭くなっていると言わざるを得ません。

1-2.日本だからこそ得られる不動産投資のメリット

高度経済成長と聞くとかつての日本を思い浮かべ、そこに夢を馳せる人は多いかもしれません。当時日本の不動産価格は大きく上昇し、キャピタルゲインによって「不動産長者」になる不動産投資家も少なくありませんでした。

だからこそ高度経済成長が見込める海外市場に目が向くわけですが、海外不動産ならではのリスクがあることも理解しておきましょう。具体的には、為替リスクや、政治・経済情勢の変化によるカントリーリスクです。購入のタイミングや物件選びを間違うと、利益が出ないどころか価格が大きく下がる可能性もあります。

その点、日本のマンションの家賃は短期間で大きく上がることもない代わりに、急激に下落することもほとんどありません。海外に比べて、日本の経済情勢は安定しています。EIUという調査機関による「世界の安全な都市ランキング」では2019年の時点で東京が3回連続で1位となり、3位には大阪もランクインしています。治安がよく政治経済の環境が安定している日本は、不動産投資の環境としては世界トップクラスの恵まれた位置にあるのです。こうした市場での不動産投資では、精度の高い収益予測ができます。

また海外不動産への投資では、多くの場合ローンを組むのが難しいといわれています。一部の金融機関から融資が受けられることもありますが、その場合でも融資額には制限があります。一方、日本の不動産投資では場合によってはフルローンが可能であるというメリットがあります。レバレッジが効かせられるからこそキャッシュフローが向上し、効率的に資金を増やすことができます。確かに大きな価格上昇は見込めませんが、日本もまだまだ十分に投資が成立する市場です。

だからといって、不動産であれば何でも成功するわけではありません。特に兼業不動産投資家としての成功を目指すのであれば、高額でしかも立地条件のよいものを見つけにくい新築物件よりも、立地条件のよい中古マンションにリノベーションを加えるなど、付加価値を高めた投資手法の強みが今後さらに強まっていくでしょう。

2.税制改正で海外不動産運用のタックスメリットがなくなった?

2020年の税制改正大綱では、海外不動産を活用した節税スキームに大きな転機が訪れました。海外の築古不動産の減価償却費を節税に利用していた投資家、富裕層の人たちにとっては衝撃的な「節税封じ」となりますが、何がどう変わって、今後どんな影響が考えられるのでしょうか。

2-2.何がどう改正されたのか

2020年(令和2年)の「税制改正の大綱」に登場したある文言が、海外不動産に投資をしている人、これから投資を検討している人に大きな衝撃を与えました。内容を要約すると、「海外の不動産投資で赤字収支となった場合、減価償却費の計上は認めない」というものです。

この文言が意図しているのは、海外不動産を活用した節税スキーム封じです。これまでは海外の不動産であっても日本の不動産と同様に減価償却費が認められていたので、海外の不動産を購入しても日本と同様の節税メリットがありました。

それなら減価償却費の計上が認められない海外不動産を買わずに日本国内の不動産を買えばいいのでは?と思われるかもしれませんが、ここに日本と海外の不動産事情の違いによるカラクリがあります。

節税スキームのために富裕層の人たちが主に購入していたのは、アメリカの築古住宅です。特に日本で定められている法定耐用年数を過ぎた築年数の木造住宅が好まれました。その理由は、簡便法と呼ばれる減価償却費の計算方法にあります。

築年数がすでに23年の木造住宅をアメリカで購入したとしましょう。木造住宅の法定耐用年数は22年なので、すでに通常の計算方法で減価償却費を求めることはできません。そこで用いられるのが簡便法で、これによると法定耐用年数に0.2を掛けた年数を耐用年数とすることができます。築25年の木造住宅であれば22に0.2を掛けるので4.4です。小数点以下は切り捨てなので、4年となります。

仮にこの住宅が8,000万円だとすると、4年間にわたって減価償却費は毎年2,000万円もあります。家賃収入が年間で500万円あったとしても帳簿上は1,500万円の赤字を計上できるので、大きな節税メリットが得られます。

そんなに古い住宅を買っても家賃収入を見込めることはないのでは?仮に4年間所有しても4年後に売却できないのでは?と思われるかもしれませんが、ここにも不動産に対する価値観の違いがあります。というのもアメリカでは築古住宅だからといって不人気になる傾向があまりなく、20年はおろか30年を超えるような築年数の木造住宅であっても流通しており、入居者を探すにもそれほど苦労はしません。

しかも売却時であっても築古住宅に対するネガティブなイメージが少ないので、それほど買い手を探すのに苦労はしません。そのため、アメリカの築古木造住宅を購入することに対するリスクがあまりないのです。

2-3.改正による海外不動産運用への影響

この「節税封じ」ともいえる税制改正では、この節税スキームを検討していた人は戦略の見直しを迫られます。アメリカの築古木造住宅を購入するのは家賃収入よりも節税のメリットが大きかったので、これまで人気だったこのジャンルが日本人投資家から人気を集めることは考えにくいでしょう。

そもそも、不動産投資には3つの利益、メリットがあります。それは「家賃収入」と「売却益」、そして「節税効果」です。3つめの節税効果が薄れたことによって投資家のマインドは残り2つによる利益確保に向かうでしょう。家賃収入の安定化と売却益を期待するのであれば、日本国内であっても海外であっても立地条件や収益性に対してシビアになり、付加価値の高い物件であることがより強く求められます。

2-4.今後の対応策は?

税制改正による節税スキーム封じを受けて、今後投資家が取り得る道は3つあります。1つは「まだ1年ある」ということで2021年については引き続き節税スキームの適用を受けるための物件を購入する道です。2021年までに購入すれば節税を適用できるので、使えるメリットは最後まで使い切る考え方です。

2つめに考えられる道は、減価償却費の計上ができなくなる代わりに減価償却費の計上ができなかった海外の物件を売却した際に受けられる控除(譲渡益から減価償却費に相当する金額が控除できる)を受けることです。毎年にわたって減価償却費を計上するだけの節税効果はありませんが、それでも使えるものはしっかりと使うべきです。

そして3つめが、根本的な不動産投資の戦略的な原点回帰です。日本であっても海外であっても立地条件と物件の付加価値という魅力づくりによって入居者を安定的に確保し、売却時の価格にも寄与するという出口戦略を描く手法は不動産投資の「王道」です。

新築と比べて好立地の物件が多い中古マンション、とりわけ入居者の需要が高い中古のワンルームマンションを仕入れてリノベーションによって付加価値を高めるといった手法が多くの成功事例を生み出しているのも、こうした不動産投資の原点を固めることによる強みではないでしょうか。

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